ご報告、当院の飼い猫が急逝しました。

今日、うちの猫が急逝しました。
お別れの言葉もなしに、お別れの言葉も言えずに、午後仕事をしている間に逝ってしまいました。
本当に急な出来事でした。

てくは10年前の4月、以前勤めていた病院に運ばれてきました。恐らく交通事故にあったであろうその体は雨のためびしょぬれで、後ろ足は動かず、それでもまだ幼い命を懸命に生きようとしていました。しかし保護されたばかりで、人には警戒しており、治療も満足にできないため恐らくは一夜持つかどうかと、当時の院長は話していました。
翌日になると、ご飯も食べ少しずつ元気になってきました。ただ、後ろ足は動かないままだったため保護したもののもとの場所には返せないため、保護主さんは安楽死を含めて考えていました。そこで、日に日に元気になっていく猫を見かねた妻が「うちで飼おう」と決断したのがうちに来ることになった理由です。後ろ足は動かなくてもてくてく歩けるようになればいいなあという思いで名前は「てくてく」に決まりました。私たち夫婦に新しい家族ができた瞬間でした。
てくを迎えてから何故か私たち夫婦の人生が大きく変わります。5月頃だったと思います。たまたま見た求人の案内にあかびら動物病院がありました。正直、赤平という地名すら初めて聞く場所でしたし、不安もありましたが将来のことも考え家族3人で移住することを決めました。さいたまからの移住なのでてくも大丈夫かなーと見ていましたが、猫にとっては家が温かい北海道の方が住み心地が良かったのかのんびりと本当にのんびりと過ごしていました。特に大好きなのは蓄熱器の前。お腹を出してにゅーって感じで横になり、暑くないのと聞いてもふにゃーと答えるだけ。私たちの動向も見れるし、本当に大好きな場所だったんだと思います。

2018年3月、私たちに新しい家族が生まれます。子供と猫が一緒に生活して大丈夫かなーと心配もありましたが、てくはお兄さんの役をきちんとこなしていたんだと思います。
子供が大きくなってきて触りたいとなっても、文句ひとつ言わずにただじっとなでられる。ちょっと嫌そうな時もあるみたいですが、それでも一度もゆらに攻撃はしなかったな。本当に偉くて優しい子でした。
赤平に来て9年目のことでした。てくのお尻の横の部分(会陰部)がはじけてそこから尿が漏れ出てきています。初めての大きな病気でした。後肢が動かず、尿も自発的には出ないため長年膀胱～尿道に対する負担がかかっていたのだと思います。当院では治療ができないため大学病院で治療してもらうことになり無事に手術も終え、その後は膀胱の状態もよくまたいつものてくに戻り生活ができていました。
ちなみにいつものてくは、昼気が向いたときは人の相手をしてくれますが基本蓄熱べったり、夜は何度も妻を起こしてはおやつをせがみ満足したら妻に引っ付いて寝ています。
私の方へはあまり来なかったのですが寝相も悪く、起こされても起きないためてくからはあきらめられていたんだと思います。でもたまには一緒に寝たかったかな。

赤平に来てちょうど10年が過ぎた2023年11月8日午後5時半、いつものように蓄熱に引っ付いているてくを呼ぶといつもなら動く耳が動きません。変だなと思い、近づくと目が開いたままになっています。てくと叫んでも反応なし。すぐに妻と一命を取り戻すべく懸命に蘇生処置を行いましたが、戻ってきてくれませんでした。
本当に、本当に急な出来事でした。
てくはお別れの言葉も言ってくれませんでした。
てくにお別れの言葉も言ってあげられませんでした。
でも、お礼の言葉は言わせて下さい。
私たちの家族になってくれてありがとう。ここに来てくれてありがとう。てくの家族になれて本当に幸せでした。本当はもう少し一緒にいたかったけど、ちゃんと見守っていてください。